昨日と今日は、ずっとマイクのupsetに付き合っていた感じでした。来週のボンでの大会議に備えた準備で慌ただしいのですが、マイクは相変わらずの調子で少しでも納得がいかない事があると、声高に騒ぐので我が事務局内でもたまに対応に困ります。ナターシャやピーターでさえマイクの文句を綴られると困ったような顔をしつつ、しょうがないから付き合っていますが、仕事の実のパートナーである僕は彼の対応にはさらに難しい物があります。
彼の upsetに昨日と今日付き合っているうちに一つ気がついた事があります。それは、どこの国連機関でも当てはまると思うのですが、国際調整、特にグローバルの調整が日々望まれる場合の方法が大きな問題になっている事です。普通に考えると、物事を調整をするには顔を合わせて会議を行うのが普通ですよね。一つの会社内だったら、毎日でも会議が出来るし、かつそれが普通のサラリーマンの常識で一緒に仕事をする環境というものだという認識になります。
しかし、国連機関の仕事のスタイルは、仕事のスケールが空間的にも時間的にも違ってきます。空間的には言ってみると地球が仕事場になるので、地球上の国連の参加機関190カ国以上の事を常に考えて仕事しないといけない訳です。自分達の部署の事だけを考えていれば言い訳ではないので、むしろ外の190カ国以上の相手と仕事をするつもりで日々を望まないといけない訳です。
それはつまり、調整が必要であれば手段としては会議、電話、メール、手紙、 FAXなどのあらゆる手段を使って行う事になるのですが、会議を行うとなると、そのアレンジを行うだけで相当なパワーを要します。どこで行うのか、誰がホストするのか、旅費はどこから出るのか、資料の準備はどうすり合わせするのか、などなど。電話だと複数の人たちが同時に話せるテレコン環境があると会議よりは大分効率化されてきますが、以前に書いた通りテレコンの欠点として密な調整がしにくい難点があります。メールは、最近は必須の連絡ツールですが密な調整を行うまでのツールには至りません。手紙、FAXはほとんど決まった事項を伝える報告事項に限られるのが通常です。
こうして考えて行くと、本当に調整が必要であれば会議を行う必要があるのですが、国連機関はどうしても会議を開催するだけでパワーを使い果たししてしまうケースが多く、普通そこから決まった事項を実践する事が中々難しいのです。国連機関の重要な課題の一つとしてコミュニケーション手段の改善、あるいは効率化は至上課題なのではないでしょうか?
マイクは、実は未読のメールが150通以上あります。彼の誤解やupsetはこの未読メールに起因する事が多いのですが、メールばかりのコミュニケーションにも問題が多い訳です。マイクは50前のおじさんですが、50以上の世代はこうしたメールをばしばしやりとりするコミュニケーション手段に慣れていないのもあるので、「メールを送ったでしょう?」と言うと嫌な顔をする訳なのです。
メールは、確かに便利なコミュニケーション手段ですが、そのコミュニケーションに対する利用度と期待度は各人によって異なるため、それが問題にもなっています。また、信じられない事ですが、たまにWMOのメールシステムは外部への送信、外部からの受信が出来なくなると言う事象が起こるため重要なメールが遅れて来たり、重要な人からのメールが届かなかったりする事があるのです。やはり、万能ではないのです。
他の国連機関はどのように各国の機関と連絡調整を行っているのか非常に興味があります。仕事の緊急度によっても変わってくるのでしょうが、それにしても国連機関が進める業務は、一つの会社が進める業務のスケジュールに比べて格段に遅くなる訳です。僕もマイクも元々一社から来ているので、中々こうした現実に慣れるのに時間がかかっているのも事実です。
「合意形成に至るプロセス」というのがなにしろ重要になります。プロセスが一旦効率的に決まれば、後は調整のやり方だけなのでぎりぎりやればいいのですが、そのプロセスに至までが大変なのは朝鮮の核問題や貿易交渉などを見ていても良くわかると思います。そのために用語の定義も重要になってきます。一つの単語をとっても各国、あるいは同じ内部でも異なる意味に捉える場合がままあるので、こうした合意形成も重要な仕事である訳です。
さて、今日はそれとは別に、来年始めに東京で行われるシンポジウムの準備もやっていました。僕の仕事は日本との調整役です。シンポジウムのアナウンスや参加者への招待状の送付に関する調整など、日本では僕はシステム開発のエンジニアだったので、ある意味初めての仕事です。なんでこんなことやらにゃいかんのだ?とぶつぶつ頭の中で文句を言いながらやっていますが、それも重要な仕事である事には変わりありませんので、きっちりとやっています。
発展途上国は常に支援が必要で、シンポジウムに参加するための費用を支援する事は国連の世界では常識になっています(もちろんきちんと支援するに当たっての精査はしますが)。また、意外に問題になるのがビザです。ロシアや中国はアメリカに渡航するのにビザが必要で、それはホストする国の担当長の署名入りの招待状が会議開催の数ヶ月前に必要になります。これはかなり厳しい事で、良くその制約からロシアと中国は会議に参加出来なかったりする事が多いのです。(政府の調整関係者や国連関係の人たちはまた違いますけれどね。)
<生活>
自炊を中断してから夕食は毎日困っちゃっています。今日は、考えたあげくのマクドナルド・・・ここ最近脂っこいものを食べているかも。野菜がほしくなってきたかもしれません。
<今日のビール1>
フランス・シャモニ産、Violette du Mont Blanc、アルコール度数 5.9%、あと2本のシャモニで買った地ビールです。これは木いちごとスミレのビールらしいですがおいしいです。未だに謎は緑ビールの原料です。

<今日のビール2>
フランス・シャモニ産、Blonde du Mont Blanc、アルコール度数 5.8%、これは普通のビールです。味はまあまあ。フランス系の味という所でしょうか?

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