2006年7月27日木曜日

地球観測って?その2

<お仕事>(地球観測って?その2)
前に一度僕の仕事の紹介も兼ねて地球観測というものがどんなものか?という事を非常におおざっぱに書きました。今回は、もう少し具体例をあげて書いてみたいと思います。逆説的ですが観測すべき地球というものには、災害、気候、気象、健康、エコシステム、農業、生物多様性、エネルギー、水といった仕分けを僕たちはしています。そして、その仕分けが国際的に現在定義されて、それぞれの項目に関して各国が協力して、様々な手段を講じて観測し人間生活の向上に役立てようといった趣旨なのです。

今日は、「災害」について紹介します。いくつか例を紹介します。日本で言うと、地震、雷、火事、親父の順ですが、現実の「災害」としては地震、津波、火山、洪水、地滑り、台風などがあると思います。これらを未然に防ぐ、あるいはそれは無理とわかっていながらも事前に予測情報でも手に入ったらどんなに役立つでしょう。

例えば、一番記憶に新しい例では、インドネシアの地震と津波の甚大な被害の経験からインド洋域では津波の警戒ネットワーク整備が現在急ピッチで進んでいます。波浪ブイや潮汐感知のシステムをネットワークで接続して、潮位の変化があれば即座に中央のセンターに送信して、そこからさらに被災地域を予測して、地域住民に警戒情報を瞬時に流すのです。かなり実現性に困難が伴いますが、各国の気象機関や防災機関が協力して現在整備が進められています。下のリンクはバンダアチェの地震と津波の際の、インドのある島の被災状況の前後の衛星写真です。津波で島の真ん中が流されてしまった状況が明確です。

インドネシア地震津波被害の観測一例

火山では、例えば富士山の噴火予知は気象庁の地震計ネットワークで予測が可能となってきています。また、噴火後には噴煙や溶岩流、土石流がどこに向かって流れて行くのかを即座に知る事は静岡県や神奈川県などに住んでいる人たちには大変重要な事です。そうした被災状況または予測状況は航空機やヘリコプター、あるいは地球観測衛星などを複合的に使う事が必要になってくるでしょう。

浅間山噴火の観測一例

台風や大雨では、それがヒットしている間も重大な災害ですが、その後の洪水/冠水も恐るべきものです。どの地域にどの位の範囲で冠水が分布しているのかを知るためには、これまた航空機やヘリコプター、また地球観測衛星を複合的に使う事が大切になってきます。
災害一つとってもこんなに事例がありますが、さらに世界に目を向けると、同じ災害でも空間と時間のスケールが異なってきたり、規模や振る舞いが違ってくるのです。
浅間山噴火の観測一例

もう一つわかり易い例として森林火災があります。森林火災は人為的なものや自然発生的なものがありますが、それも地域によって違います。また、日本では山火事が起こっても数日で消火されますが、アメリカやシベリアの山火事は一度起こると1週間以上も続く場合があり、そこから放出される二酸化炭素は温暖化にどれほどの影響を及ぼしているのでしょうか?世界の火災情報を準リアルタイムに衛星で取得した情報を地図上にマッピングしたサイトがあります。

MODIS rapid response system

僕たちの部署は、災害を含むこれらの項目を9つの社会利益分野と呼んでいますが、社会利益分野を各国が協力して様々な観測手段(衛星、地上、モデリング)を駆使して、より地球の環境問題に対して積極的に取り組むための活動の事務局をしているわけなのです。

うーん、ブログの最初に仕事の事はあまり書かないと言ったのですが、どうにも書いてしまいました。

次回は、重要な「水」について書いてみたいと思います。

<今日のビール>
スイス産、FELDSCHLOSSCHEN社、PANACHE、アルコール度数2.4%、大衆用のアルコール度の低い甘いビールです。

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