2006年9月1日金曜日

布団は大事

<風邪っぴき>
一昨日から体調を崩してしまい。仕事も昨日と今日2日も休んでしまいました。原因は明らかでジュネーブに戻って来てから寒い日が続いていて、部屋も寒かったのに僕のベッドには薄いブランケットしかなかったためです。ここ毎晩寒くて足が冷たくなって起きてしまう毎日が続いていました。風邪を引くのも当たり前です。どうも、日本の暑くて湿気のある環境で掛け布団もかけなかった環境から急に戻って来て体は分かっていても、体がついて行かなかったような感じです。今日は大分良くなったので、早速掛け布団を買いに行きました。ずっと、薄いブランケットで寝ていて掛け布団はもう少し寒くなってからでいいや、と考えていたのが甘かったです。今日は暖かくなったのですが、それでも夜は上着と靴下をはかないと部屋の中でも寒くて参ってしまいます。こちらの暖房はセントラルヒーティングになっているため、10月頃の決まった時期にならないと暖房が入らないため、それまではなんとか我慢するしかないと言われたのを思い出しました。

Balexert のMIGROSで買ったDuvet(羽毛布団)です。大きな箱に入れるなあ、と思って家に帰って開けたらなんと入っている中身は半分以下、なんじゃこの体積は?とびっくりでした。Duvetはさすがに暖かいです。ようやく、快眠が出来そうです。いくつかグレードがあり一番安いので69フラン、高いのになると700フラン位までするようです。僕は、125フランのリーズナブルなものを選びました。





風邪で寝込んでいる間に気づいた事を記します。

<雑感1>(仕事)
風邪を引く前の日は大きな会議が一つあり一日それに参加していました。今後の、我が部署の仕事の進め方について外部の主要な人物に集まってもらいディスカッションする、というものでした。聞いていて一つ面白かった事があります。あるドイツ人の主要人物が言っていた言葉ですが、"It's not a black or white."という表現なのですが、要は「白黒つけられない問題だ」という意味で、こういう意見が欧米諸国から出るのに少々驚いてしまった訳です。そりゃ当たり前じゃないか?と言われればその通りかもしれませんが、論理的な思考と議論が好きな西欧文化でこうした灰色の部分を認める傾向、もしくは慣習があるのか?と思ってしまった訳です。こうした茫洋とした問題を認めるのは日本人の特有な慣習かと思っていました。それを言ったドイツ人は周りから尊敬のまなざしで見られた事を僕は感じました。国際協力による地球観測なんてのは、考えてみれば膨大な人間同士の調整と忍耐のいる仕事です。性急に白黒つけようとすると破綻します。行き違いや文化の違い、それにうまく行かない事項に如何に肝要になれるかも、この仕事をする上での重要な要素になるかと思います。もちろん、ある時には大胆に進める事も必要でしょうけれどね。

<雑感2>(物がない不便?)
何度か文句を言っているのですが、ジュネーブは店が少ない上に早く閉店になるし、日曜休日は閉店であり、日本のコンビニ環境にどっぷり浸かっている人間としては不便この上ない感想を抱く訳です。しかし、最近はどちらが良いのか?と考えると必ずしも日本の方がいいかと言われれば、中々そうでもない様に思う訳です。夏休みに日本に帰って思うのは、外国帰りの人が一様に思う様に物が溢れている環境に戸惑う事でしょう。サービスと品質の良さ、日本の誇りとする所でしょう。確かに、そうかもしれません。しかし、ジュネーブの物のなさに、僕はある意味少し「目の曇りが晴れて来た」とも感じているのです。こちらでは、食材を手に入れるのもある意味大変な場合があります。しかし、そうした事が少しばかり生きている実感を沸き立たせていると言うとおおげさでしょうか?

<雑感3>(本)
休みの間に、また日本から持って来た森鴎外著「舞姫」、藤原正彦著「祖国とは国語」を読みました。藤原氏は最初アメリカに留学しており、アメリカの論理主義、合理主義に毒され、その後イギリスに留学してからアメリカの呪縛から解放され、今の考えに至った様です。僕も以前はアメリカに1年半滞在したことがあり、その後ヨーロッパに来ているので藤原氏の考え方には共感を覚えます。特に、国際環境に身を置く立場としては、自分というものを改めて考えさせられます。現実として、僕はジュネーブに来る時にはアメリカと同じ考えで通用すると思い込んでいたため、こちらに来てから痛く反省させられました。ヨーロッパとアメリカは思想が違います。僕は、今「日本人」という言葉に苦しめられているかもしれません。「舞姫」は実はまだ読んだ事がありませんでした。内容はともかく、この当時の作者の年代の日本語の美しさ、若くして日本人としての格式の高さを感じました。鴎外の年譜を見たのですが、僕を含め今の日本人の40台くらいがちょうど鴎外の年代の20台くらいにあたりそうな位、最近の日本人は幼稚のようです。森鴎外と夏目漱石は共にヨーロッパに留学しており、彼らの文学は時代が違いながらも今更ながらに読んでおきたいと思います。

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