2007年2月5日月曜日

IPCC報告書

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)というものがあります。ニュースでも流れていますが、気候変動の人間社会による要因とそのリスクを最新の研究を世界の科学者が評価し、政策決定者に助言を行うための報告書です。地球温暖化の科学的な評価と今後の見通しに対する報告書であり、我々の地球の気候が今後どうなっていくのかなので大変重要な報告書です。先日、2月2日にこの報告書は了承されました。

報告書のごくごく簡単なサマライズの例として、既に起こっている現象として以下があげられています。
・1906年から2005年までに地球の平均気温が0.7度上昇
・海面が20世紀に17センチ上昇

21世紀末の予想として1980から99年に比べて
・地球の平均気温が1.8から4.0度上昇
・海面が18から59センチ上昇

その他、具体的な現象としては
・夏の時期に北極で海氷が消える
・グリーランドの氷河は今後約3度気温が高い状態が続くと全部溶けて海面が約7メートル上昇
・海水のアルカリ度が上がり珊瑚礁の殻が溶ける可能性
・台風やハリケーンの発生数は減るが強さが増す

などが言われています。

スイスの氷河も年々後退していっており、最近の調査ではスイスだけではなく世界の氷河が2005年に平均で66センチ減った事がわかったそうです。25年間では10メートルあまり減少しているとのことです。

しかし、こうした報告書が提出されても、あるいはニュースで大きく報じられても、僕を含め一般の人たちには実感が湧かずに誰かが対処してくれるだろう、という気分になってしまうのが人の素直な気持ちですね。しかし、例えばこのIPCCは僕のいるWMOと国連環境計画(UNEP)という二つの国連機関が事務局をしています。WMOにいるというと、良く人から「地球温暖化をなんとかしてくれ」と言う人がいるのですが、それは間違っています。はっきり言って IPCCやWMO, UNEPはなんにもしないと考えてください。科学的な裏付けに基づく評価と助言はしますが、それからの対策は極端に言うと「僕を含む”あなたたち”」が行う必要があるのです。

政策決定者と言う言葉もなんだかピンと来ませんよね?一体誰なの?という感じですよね。政策決定者がきちんとした対策を行うべきである事ももちろんですが、個人がやはり出来る所から意識をしてつつ生活を見直す事を始めるしかないとは思います。それでも温暖化が人間生活に大きな影響が出て災害が多発するのではあれば、それはそれで人間の限界ということでしょうがないことかと思います。

一方、今日変なメールが僕の所に来ていました。韓国の人からの様でしたが、見覚えのないアドレスだったのですがもしかしたらスパムメールかもしれないし、あるいは我が部署に宛てたものなのかもしれません。そのメールの内容は「地球温暖化はIPCCの報告にあるような、人間活動による温室効果ガスが起因するものではない!実は、地球の内部のマントルや核の温度が上昇してきているからである!」というものでした。面白い説ではありますが根拠が書いていなかったので、とりあえず無視するということで。

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